Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
みらいのてんさい
未来の天才
豊島 与志雄
Lisez 未来の天才 (みらいのてんさい) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 630 caractères · 38 écrans
私は徒らに宝を抱いてるのみであるような気がして、ともすると焦れったく苛ら立ってきそうな気持ちになりながら、室の中に寝転んだり、街路を歩き廻ったりした。何にも手につかなかった。始終彼女のことばかりを考えていた。余り思いつめてると、胸が激しく震えて苦しくなった。
私は彼女を恋してるのに違いなかった。それと意識しないで恋したのだ。そうでなければ、あの時あんな風になる筈はなかったのだ。
あの時――それは朝から妙にむし暑い日だったが、夕方になって急に冷々としてきて、ぱっと明るい残照の後すぐに暗くなってしまった。かく薄暮の明るみのない慌しい夕を、私は薄気味悪く眺めていたが、夕食後暫くして、妙に夢幻的な気持ちになって、ふらふらと散歩に出た。
夢幻的な気持ちの直接の原因は、煙草の煙だった。私は煙草を吹かしながら、何気なくその煙の行方を見守っていた。すると、いつも上の方へ舞い上ってゆく煙が、その時はどうした調子か、一尺ばかり上まで立ち昇って、ゆらゆらと崩れるかと思うと、横へ平たく拡がってゆき、その末がなだれ落ちる恰好に捲き返して、そのまますっと消えていった。そんなことは珍しかった。