Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
みらいのてんさい
未来の天才
豊島 与志雄
Lisez 未来の天才 (みらいのてんさい) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 630 caractères · 38 écrans
そしてただ感謝の念で一杯になっていた。然し何に感謝していいか分らなかった。自分がこの世に生きてることが有難かった。彼女がこの世に生れたことが有難かった。私はまたモナ・リザに眼をやった。彼女によく似たその額から眼のあたりを見つめた。次に顔の下半分を通り越して、胸から両手の方へ視線を移していった。その時、或る考えが私の頭に閃めいた。彼女に対する愛を象徴するために、また彼女の純真さを象徴するために、彼女の指に真珠の指輪を一つはめさしてやろう? 貝の中から取れるあの乳銀色の珠は、最も清らかなもののように私には思えた。
私は夜が明けるのを待ちあぐんだ。何時のまにか陥った眠りから覚めると、すぐに飛び起きた。雨戸を繰ると、東の空に昇ったばかりの太陽の光りが、ぱっと室内に流れ込んだ。私は縁側に立って大きく息をした。世界が変っていた。小鳥が歌い、空に白い雲が流れ、露に濡れた木々の葉が輝き、爽かな微風が遠くから渡ってきた。凡てが喜びに躍り立っていた。私は窓を開いて、静子の家の方を眺めた。しっとりと露を置いた甍が、彼女の眠りを安らかに蔽うていた。朝炊の煙が斜になびきながら、清い空に立ち昇っていた。