Classiques japonais avec furigana
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むらのせいこうしゃ
村の成功者
佐々木 邦
Lisez 村の成功者 (むらのせいこうしゃ) de 佐々木 邦 (ささきくに) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 40 883 caractères · 84 écrans
のらくら息子
昼からお客さんが見えますからってね」
と頼んだ。
「伯母さん、お芽出度うございました」
と卓造君はお祝いを述べた。
「未だ何うなるか分りませんよ。あの伯父さんのことですもの」
と口先でこそ貶したが、伯母さんの顔はその朝と違って明るかった。
のらくら息子
卓造君の生れた山中村は水の名所である。字からして泉、小谷、水窪なぞと水に因んだところが多い。村中から水が湧く。それが田川で落ち合って可なり大きな川になる。田川さんの田川は姓でもあり、川の名でもあり、又字の名でもある。田川が隣村の百間川へ流れ込んで大滝になる。鮎も河童もこゝから上へは登れないという伝説になっている。凄じい勢だ。もうそのまゝで電気が出ているように水が青光る。
田川の伯父さんの頭には常にこの大滝があった。水力電気! 先代が左前にして残した家産の益※(二の字点、1-2-22)傾くにつれて、そればかり考える。尤も他に挽回の道はない。小作は我儘になるばかりだ。何彼と言って毎年のように年貢を値切る。約定通りに入れることは滅多にない。ひどく足りない年が続くと、田川さんは田地を手放す。それも村の人に知られたくないから遠方のを片付ける。