Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

くわのきものがたり

桑の木物語

山本 周五郎

Lisez 桑の木物語 (くわのきものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 39 815 caractères · 79 écrans

Aozora Bunko

その年は十月になって、思いがけない帰国の許しが出た。参覲のいとまで正篤にとっては初めての国入りである。まだ一二年はその沙汰もあるまいと思っていたし、出立までの日数が少なかったので、家中はいっとき眼の廻るような騒ぎだった。――正篤は悠二郎に、こっちに残っていろと云った。おまえを江戸から離すのは可哀そうだし、おみつが淋しがるだろう、などとも云った。しかし悠二郎はてんで聞こうともせず、正篤に付いて出立した。

国許にはちょうど一年いた。高い山が東と北に峰をつらね、城下の近くに瀬の早い川がながれていた。城は丘陵の上にあり、森のような樹立に囲まれているが、地盤が高いので眺望はひろく大きかった。

悠二郎はその眺望にはまいった。雪をかむった山々の峰が、鋭く尖ってはっきり見える、雨風にさらされた、灰色めいた、うらさびれたような町の家々、その向うをながれている川の、早瀬のところのあざやかに白い泡、そして遠くうちひらけている荒地や田には、一日じゅう溶けない薄氷が張っている、――どっちを見てもそんな景色で、見るたびに江戸が恋しくなり、気持が沈むのに降参した。

花田先生とはゆくとすぐに会った。