Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
くわのきものがたり
桑の木物語
山本 周五郎
Lisez 桑の木物語 (くわのきものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 39 815 caractères · 79 écrans
「どうかなすったのですか、お躯のぐあいでも悪いのではございませんか」
あるとき悠二郎がそうきいてみた。正篤は不意におどかされでもしたように、ぎょっとした眼つきでこっちを見た。それから唇を歪めて笑い、頭を振りながら云った。
「いやなんでもない、――大丈夫だ、郷愁というのだろう、ときどき江戸へ帰りたくなる」
「はあ、それは、しかしそれだけでございますか」
「おまえ帰りたくないか」正篤はこう云って、脇のほうへ眼をそらした、「――江戸へ帰って、また舟仙へゆこう、みんな待っているだろう、今ごろおみつはなにをしているだろうな」
悠二郎は身につまされ、ほっとすると同時に、せっかく忘れようとしているものを思いださせられて、いやな心持になった。
これもそのじぶんのことだが、花田欣弥が靖献遺言の講義をすることになった。だいたい五十回ばかりの予定で始めたのであるが、第一日の講義を半刻ほど聴いたとき、とつぜん「ああ」という奇妙な呻きのような声をあげた。――悠二郎はとっさに眼をあげたが、正篤は蒼ざめ、いつもよりもっと鋭く眉をしかめ、一種の捉えがたい歪んだ表情になっているのを見た。