Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
くわのきものがたり
桑の木物語
山本 周五郎
Lisez 桑の木物語 (くわのきものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 39 815 caractères · 79 écrans
と云い、懐紙を出して顔を拭くと、こんどは明るく笑いながら、桑の枝々を指さして云った。
「みろ、こんなに生ってる、久しぶりでいっしょに摘んで喰べよう、泣くのはよせ」
「もう泣いてはおりません」
「おれはこの木、おまえはそれだぞ」
「先刻のが桑の酒でございますか」
「帰りに持ってゆくがいい、ひと瓶わけてある」
二人は桑の枝に手を伸ばし、黒く熟れた実を摘んでは口に入れた。
「おれのほうのことは聞いたか」
「お世継ぎと姫さま、お三人儲けられたうえ、名君という御評判をうかがいました」
「悠二郎は子供は何人ある」
「男一人に女二人でございます」
「おみつとは相変らず喧嘩をするのか」
悠二郎は口いっぱいに桑の実を頬張って、もごもごもごと、なにやらわけのわからない返辞をした。正篤もせっせと摘んでは喰べながら云う。
「舟宿の亭主も悪くはないだろう」
「残念ながらそのようでございます」
「うちあけて云えばそれもあったのだ」正篤は紫色に染まった唇で微笑する、「――さっき申したことも事実だが、もう一つはおまえを侍にさせたくなかった、屋敷勤めより、町住いのほうがおまえには似合っている。おみつと添わせて、気楽に一生おくらせたかった、おまえを水に放してやりたかったんだ」