Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ばいしのつえ
梅颸の杖
吉川 英治
Lisez 梅颸の杖 (ばいしのつえ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 15 966 caractères · 32 écrans
『待て、待て、四郎次』
『なんですか、先生』
『そこに、杖があったな』
『たしかに有りますぜ。安心しておくんなさい』
『いや、疑ったのではない。その杖を持って、わしの五体を打ちすえて貰いたいのだ』
『えっ、撲ってくれというんですか』
『そうだ、骨にこたえるほど打ってくれ』
『ご冗談でしょう、先生』
『頼むのだ、打ってくれ。その杖をもって、打ってくれるものは、お前よりほかにはない。妻にはその力がない。友も打ってはくれまい。山陽の悪口を言い廻る人間も打ってはくれない。――母も打つことはして下さらなかった。打て、四郎次』
『いいんですか、ほんとに』
『おお。強く』
『打ちますぜ』
四郎次は、杖をふりかぶって、膝を正した山陽の肩を打ちすえた。
なおと、求めるような彼の瞑目に、四郎次の手は、思わず三つ四つ五つと、つづけざまに杖を下した。
突然立ち上って、奪うように杖を自分の手に収めた山陽は、四郎次より先にその家を出て、大坂へ来れば必ず立ち寄る小竹の家にも顔を見せず、淀の一番船のうちに活々と朝の大気を吸っていた。
(昭和五年)