Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

えのきものがたり

榎物語

山本 周五郎

Lisez 榎物語 (えのきものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 33 519 caractères · 67 écrans

Aozora Bunko

九

「お玉ヶ池の話にはあとがあるんだよ」と隠居は云った、「知っているかね」

「いいえ存じません」

「お玉という娘はたいそう美人で、多くの男たちに云いよられたが、誰にも心を動かされなかった、すると」そこで急に、隠居は細い顎を摘んで、思い返したように首を振った、

「いや、この話は陰気だからよしたほうがいいだろう、おまえさんにもあと味が悪いだろうからな」

「半分うかがっただけでは却って気になりますわ」

「かもしれないな、話してしまおう」と隠居は苦笑した、「で、そのうちに二人の若者があらわれてお玉に恋をした、どっちもいい性質の若者で、お玉のほうでも好きになったが、二人のうちどちらを選ぶこともできない、若者たちの恋はいのちがけだし、お玉も悩むだけ悩んだが、どうしてもこの一人ときめることができず、ついに池に身を投げて死んでしまったそうだ」

昔その付近には桜が多く、池も桜ヶ池と呼ばれていたのを、そのことがあって以来「お玉ヶ池」というようになったのだ、と老人は語った。

九

同じような物語はほかにもある。真間の手古奈の話などはそっくりだ、とさわは思った。たぶん一つの美しく悲しい出来事が、いろいろな土地に移し伝えられたのであろう。