Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

えのきものがたり

榎物語

山本 周五郎

Lisez 榎物語 (えのきものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 33 519 caractères · 67 écrans

Aozora Bunko

角庄で。いつのことだろう、どの客だろう。耳の奥で血の騒ぐ音がし、胸に強い圧迫を感じた。

「お屋敷にいたころは山猿、山猿とこき使われたもんです」と足助は続けていた、「それがどうでしょう、いまでは江戸の絹糸商、立派に一軒の店を持って、名も佐平と改めた、一年おきに一度ずつ、小出へ買い付けに来るんだということですが、人柄もぐっとあがって、いまではぱりぱりの商人です、あなただってきっとびっくりなさったでしょう、そうじゃありませんかおさわさん」

「あたしはさわではありません」とさわは静かに云った、「人違いです、あたしにはあなたの云うことはまるでわかりません、どうかお帰りになって下さい」

足助は納得しなかった。河見家のことや自分が下男の足助であること、雇人のたれそれ、門前にあった樵長屋。嫁にいって亡くなった妹娘のなか。末っ子で弟の丈二など、むかしのことをいろいろと語って、さわの記憶をけんめいに呼び戻そうとした。さわは相手にならず、ただ冷やかに「人違いだ」と云いとおした。足助が熱中すればするほど自信がつき、なにを云われても平然と受けながした。

「そんなことはないと思うが」