Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lisez 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 078 caractères · 285 écrans

Aozora Bunko

宇乃はそのまま坐っていた。玄察の話しを聞いているあいだに、(話しの内容とはかかわりなく)甲斐の姿がありありと眼にうかぶように思われた。酒井邸の出来事が、公表されたとおりであるにせよ、裏に隠されたしんじつがあるにせよ、いまの宇乃にとってはさして関心はなかった。宇乃は早くから、甲斐がなにごとか為そうとしていたのを知っている、甲斐は多忙で、話しあう機会もそう多くはなかった、二人だけになっても、政治向きの話しなどはしたことがない。けれども、十一年このかた見たり聞いたりしたこと、慶月院のようすや、甲斐の身辺に起こったかずかずの変化は、甲斐がなにごとか為そうとしている、ということを明らかに示していた。

――それが三月の出来事になったのだ。

伊達家の安泰。長いあいだ禍のたねであった一ノ関が除かれ、伊達六十余万石と、多数の家臣たちの将来が安全になった。もしそれが多年の念願であったのなら、どういう死にかたをしようと、世評がどんなに悪かろうと、甲斐にとってまったく問題ではないであろう。

「――おじさまははれがましいことや、際立つようなことはお嫌いだった」

宇乃はそう呟いてから、ふと、自分が方丈の中に独りでいること、玄察は戻って来そうもないことに気づいて、そっと立ちあがった。