Classiques japonais avec furigana
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ウニデスちょうりゅうのかなた
橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇
橘 外男
Lisez 橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇 (ウニデスちょうりゅうのかなた) de 橘 外男 (たちばなそとお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 247 361 caractères · 483 écrans
誰しも国の自慢を言わぬものはないけれど、ここまで通り越してしまっては、うっかり相槌も打てぬと呆れ返ったのであった。モジャモジャと熊のような毛の生えた真っ黒なカ氏の顔を眺めながら、こんな話を聞かされて私たらずとも真正面に信じ得る人間が幾人あったであろうか? 気品が高いとか眼鼻が整っているとかいうのならばともかくも、欧州一の美女たちも驚倒するような絶世の美人ときては相槌を打っているのさえも莫迦莫迦しくなって、しまいには私も黙って聞いていた。その口を噤んでいる私の姿が、また、逆せ上ったカ氏の眼には、私が共鳴感を表わしているとでも見えたのであろう、私を瞶めて口を閉じていたが、たちまち悲憤の色を漂わせた。「その美しい王女殿下を、どうです、MR・タチバナ、暴戻な英国の官吏は臆面もなく恥ずかしめようとしたのです。獣とも何とも評しようのない無礼極まる奴らです。彼らの眼には私たちの崇敬する王女殿下のお姿も土人の娘としか映ってはいないのでしょう」と噛んで吐き出すように言った。「私はその頃王宮内の図書館に働いていたのですが……」
そこでカ氏が私に話してくれたことを要約してみると、王女はその時何かの用事で珍しく後宮を出て、表御殿のナリン太子の部屋へお見えになっていられたが、あいにく太子は部屋においでがなかった。