Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

とちのはな

橡の花

梶井 基次郎

Lisez 橡の花 (とちのはな) de Kajii Motojirō (梶井 基次郎) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 685 caractères · 22 écrans

Aozora Bunko

一

一

この頃の陰鬱な天候に弱らされていて手紙を書く気にもなれませんでした。以前京都にいた頃は毎年のようにこの季節に肋膜を悪くしたのですが、此方へ来てからはそんなことはなくなりました。一つは酒類を飲まなくなったせいかも知れません。然しやはり精神が不健康になります。感心なことを云うと云ってあなたは笑うかも知れませんが、学校へ行くのが実に億劫でした。電車に乗ります。電車は四十分かかるのです。気持が消極的になっているせいか、前に坐っている人が私の顔を見ているような気が常にします。それが私の独り相撲だとは判っているのです。と云うのは、はじめは気がつきませんでしたが、まあ云えば私自身そんな視線を捜しているという工合なのです。何気ない眼附きをしようなど思うのが抑ゝの苦しむもとです。

また電車のなかの人に敵意とはゆかないまでも、棘々しい心を持ちます。これもどうかすると変に人びとのアラを捜しているようになるのです。学生の間に流行っているらしい太いズボン、変にべたっとした赤靴。その他。その他。私の弱った身体にかなわないのはその悪趣味です。なにげなくやっているのだったら腹も立ちません。