Classiques japonais avec furigana
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うたまろざんげ
歌麿懺悔
邦枝 完二
Lisez 歌麿懺悔 (うたまろざんげ) de 邦枝 完二 (くにえだかんじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 396 caractères · 23 écrans
背の高い、従って少し猫背の、小肥りに肥った、そのくせどこか神経質らしい歌麿は、黄八丈の袷の袖口を、この腕のところまで捲り上げると、五十を越した人とは思われない伝法な調子で、縁先に腰を掛けている彫師の亀吉を憐れむように見守った。
亀吉はまだ、三十には二つ三つ間があるのであろう。色若衆のような、どちらかといえば、職人向でない花車な体を、きまり悪そうに縁先に小さくして、鷲づかみにした手拭で、やたらに顔の汗を擦っていた。
歌麿は「青楼十二時」この方、版下を彫らせては今古の名人とゆるしていた竹河岸の毛彫安が、森治から出した「蚊帳の男女」を彫ったのを最後に、突然死去して間もなく、亀吉を見出したのであるが、若いに似合わず熱のある仕事振りが意にかなって、ついこの秋口、鶴喜から開板した「美人島田八景」に至るまで、その後の主立った版下は、殆ど亀吉の鑿刀を俟たないものはないくらいであった。
一昨年の筆禍事件以来、人気が半減したといわれているものの、それでもさすがに歌麿のもとへは各版元からの註文が殺到して、当時売れっ子の豊国や英山などを、遥かに凌駕する羽振りを見せていた。