Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はぐるま

歯車

芥川 竜之介

Lisez 歯車 (はぐるま) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 25 267 caractères · 52 écrans

Aozora Bunko

「静かですね、ここへ来ると」

「それはまだ東京よりもね」

「ここでもうるさいことはあるのですか?」

「だってここも世の中ですもの」

妻の母はこう言って笑っていた。実際この避暑地もまた「世の中」であるのに違いなかった。僕は僅かに一年ばかりの間にどのくらいここにも罪悪や悲劇の行われているかを知り悉していた。徐ろに患者を毒殺しようとした医者、養子夫婦の家に放火した老婆、妹の資産を奪おうとした弁護士、――それ等の人々の家を見ることは僕にはいつも人生の中に地獄を見ることに異らなかった。

「この町には気違いが一人いますね」

「Hちゃんでしょう。あれは気違いじゃないのですよ。莫迦になってしまったのですよ」

「早発性痴呆と云うやつですね。僕はあいつを見る度に気味が悪くってたまりません。あいつはこの間もどう云う量見か、馬頭観世音の前にお時宜をしていました」

「気味が悪くなるなんて、……もっと強くならなければ駄目ですよ」

「兄さんは僕などよりも強いのだけれども、――」

無精髭を伸ばした妻の弟も寝床の上に起き直ったまま、いつもの通り遠慮勝ちに僕等の話に加わり出した。

「強い中に弱いところもあるから。