Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しとかげ

死と影

坂口 安吾

Lisez 死と影 (しとかげ) de Sakaguchi Ango (坂口 安吾) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 5 160 caractères · 11 écrans

Aozora Bunko

三平はバーを廻って酔客の似顔絵をかく。ノミシロを稼ぐと、さッさと、やめる。必要のノミシロ以上は決して仕事をしなかったが、人が困っているのを見ると、一稼ぎして、人にくれてやることは時々あった。夏冬一枚のボロ服だけしかなかったが、私を訪ねてくる時には、失礼だから、と、秋の頃にもユカタをきてくる。このユカタは肩がほころびて、もげそうに垂れ、帯の代りにヒモをまいているのであった。ボロ服の方が、どれだけ、人並みだか分らない。然し三平はそうとは知らず、なんしろ、高級な下宿だからネ、先生のコケンにかゝわるといけねえから、このキモノをきてくるんだ、オレは高級はキュークツで、きらいなんだ、と言っていた。

三平は最低の生活にみち足りていた。彼の姉が、松戸に、女給が二十人ちかくもいる大きなカフェーをやっていて、三平に支配人をやれと頻りにすすめていたが、カフェーは下賤な職業だ、と、ひどく憎んで、ニベもなく断りつゞけていたようである。知らない土地の交番では必ず咎められる乞食の風采をして、然し、彼の魂は変テコリンに高かった。

空襲のころ、神保町の古本屋を歩いていると、何年ぶりかで、三平に会った。