Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しのぜんご

死の前後

豊島 与志雄

Lisez 死の前後 (しのぜんご) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 17 273 caractères · 35 écrans

Aozora Bunko

「君にまた頼みたい用件が出来たよ。」

依田氏は声をひそめて云った。これから某会社の専務取締のところへ出かけていって、現金七千円と引替に、一ヶ月期限の約束手形八千円の証書を貰ってきてほしいと、ただそれだけのことだった。但し振出人は先方の専務個人で、宛名はこちらの会社だから、それを注意してこなければならなかった。坪井はつまらない用件なのに不審がって、依田氏の顔色を窺った。すると、依田氏はなお声をひそめて、自分が出かけていっては工合がわるいことがあると弁解し、個人にせよ会社にせよ、時として秘密な窮地に立つことがあるものだと云い、この商事会社の立前として無抵当金融は絶対に謝絶しているので、秘密を守るためには君より外に使者がないと云うのだった。もしこの秘密が少しでも外部にかぎ出されたら、いろんな思惑が行われる懸念があると、その点を彼はくどいほど注意した。坪井はぼんやり聞いていた。貪慾そうな彼の口から出るばかにやさしい細い声が、まるで彼自身の声とは思えなかったし、而もその声の背後には、人の心のなかまで見通そうとするような光をひそめた小さな眼が、油断なく監視しているのだった。