Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しまでをかたる

死までを語る

直木 三十五

Lisez 死までを語る (しまでをかたる) de 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 42 739 caractères · 85 écrans

Aozora Bunko

父が、東京へ行くなら、これを着ろと、古着で買ってきてくれた釣鐘マントの半分の奴を着ていたが、それをかぶって、停留所の中で寝る事にした。線路沿いに行くと、停留所があったが、これが何んと、昼間降りた芦屋の停留所である。

(運命だ)

と思って、砕け、裂かれた身体を横にしたが、半分のマントでは、足がつつめない。足をつつんだ方がいいだろうと、下へやると、何うして、肩の寒さは、じっとしておれるものでない。

今度は、マントを縦にして、頭から、足の先まで冠ってみたが、腰掛の板から、夜中の凍気が、しんしんと、身体を刺してくる。とうとう

(畜生、徳子、薄情者)

と、罵りつつ、それでいて、恋しさに、眠れぬ眼を、見えぬ昼間の家の方へ向けて

(そこにいるなら、徳子、おれが、こんなになっているのを見せてやろうか)

と、いうような呪、愚痴。初めて、家を明けるのであるから、親爺の小言が恐ろしいが、そんな事は、丸で考えないで、悄げ、怒り、恨み、寒がって、夜を明かした。

そして、このままこの恋は終った。期間が短かいし、徳子さんの母親が、クリスチャンで、私の趣味に合わなかったから、諦めがよかった。