Classiques japonais avec furigana
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ははおや
母親
若杉 鳥子
Lisez 母親 (ははおや) de 若杉 鳥子 (わかすぎとりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 7 750 caractères · 16 écrans
」
母親がそんなことでもいうと、みを子は険しい眼つきをして母親を見た。
母親は、みを子が会社を馘にされたのを、何か非常に不名誉なことででもあるように思って、そのことは、みを子の兄にも秘していた。すると、ある日の新聞は、『全協の魔の手伸びる』とか、『赤い女事務員』とか、そういう標題の下に、彼女達の組織しようとしていた、使用人組合の分会準備会がばれたことを、デカデカと書いていた。それですっかり、みを子の馘になった理由が、兄にも知れてしまった。
長い間木版工をして、現在は印刷局に勤めているみを子の兄は、その晩殊に機嫌が悪かった。――肺を患っていて、自分の馘も危ぶないのに、この上妹のことでも影響して失業でもしたら、これからどうして食べて行く!
妹がひどく身勝手なことでもやったように腹が立って仕方がなかった。
夕方、親子三人は気まずく食卓を囲んで向かいあっていたが、その時そっと格子が開いた。
「また、誰か来たようだぜ。」
兄は耳さとくいって箸を置いた。
「そうかい――」
母親はみを子にそっと眼くばせをした。
みを子は前掛けを口にあてて、そそくさと立って行った。