Classiques japonais avec furigana
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もうりせんせい
毛利先生
Lisez 毛利先生 (もうりせんせい) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 383 caractères · 25 écrans
自分の級に英語を教えていた、安達先生と云う若い教師が、インフルエンザから来た急性肺炎で冬期休業の間に物故してしまった。それが余り突然だったので、適当な後任を物色する余裕がなかったからの窮策であろう。自分の中学は、当時ある私立中学で英語の教師を勤めていた、毛利先生と云う老人に、今まで安達先生の受持っていた授業を一時嘱託した。
自分が始めて毛利先生を見たのは、その就任当日の午後である。自分たち三年級の生徒たちは、新しい教師を迎えると云う好奇心に圧迫されて、廊下に先生の靴音が響いた時から、いつになくひっそりと授業の始まるのを待ちうけていた。所がその靴音が、日かげの絶えた、寒い教室の外に止まって、やがて扉が開かれると、――ああ、自分はこう云う中にも、歴々とその時の光景が眼に浮んでいる。扉を開いてはいって来た毛利先生は、何より先その背の低いのがよく縁日の見世物に出る蜘蛛男と云うものを聯想させた。が、その感じから暗澹たる色彩を奪ったのは、ほとんど美しいとでも形容したい、光滑々たる先生の禿げ頭で、これまた後頭部のあたりに、種々たる胡麻塩の髪の毛が、わずかに残喘を保っていたが、大部分は博物の教科書に画が出ている駝鳥の卵なるものと相違はない。