Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

みずがめ

水甕

豊島 与志雄

Lisez 水甕 (みずがめ) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 082 caractères · 26 écrans

Aozora Bunko

夫婦の外に、堀内富子という中年の女がいまして、炊事雑用を一切やり、仁木の日常の用事も手伝ってくれました。それから猫が一匹いました。

ありふれた牡の黒猫で、四足が白く、首の下にも白いところがありました。その白毛の配置がちょっと奇妙で、四足が拵え物のように見えることもあれば、首の下の白いのが熊の月の輪のように見えることもありました。この月の輪のために、クマと名づけられていました。空襲によってその辺が広範囲に焼けた後、家の中にはいりこんできた猫で、長い尻尾をまっすぐに立ててその先で何度も唐紙を撫でたので、どこかの飼い猫だったことが分ったそうでした。

長い尻尾を立ててその先で唐紙を撫でるのが、クマの癖でした。それはたいてい、食物がほしいとか、背中を掻いて貰いたいとか、なにか人間に用のある時でした。それ以外はいつも知らん顔で、人間の方は見向きもしませんでした。そのクマを、仁木はひどく可愛がりました。夜は同じ蚊帳のなかに寝ました。

そのようにして静かに落着いてる仁木三十郎が、ふしぎなことには、乱暴な怖い男だという印象を周囲に与えてるようでした。或る時、配給の酒を一緒に飲みながら、平井老人はしみじみと仁木の様子を見守って言いました。