Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Lisez 江戸情話集 (かごつるべ) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 203 779 caractères · 407 écrans
八橋は別に驚きもしなかった。
「ほほ、未練らしい。また来なんしたか」と、彼女は平気で笑っていた。
栄之丞は廊下へ出るにも注意して、なるべく次郎左衛門と顔を合わせないように念じていた。彼は引け四つ(十時)前に帰ろうといったが、八橋が無理にひき留めて放さなかった。
この晩は夜なかから南風が吹き出して、兵庫屋の庭の大きい桜の梢をゆすった。
夜があけるのを待ちかねて、栄之丞は兵庫屋を出た。八橋も茶屋まで送って行った。その留守の間に次郎左衛門も飛び起きて、忙がしそうに顔を洗った。
「いっそ直しておいでなんし」
新造たちの止めるのを振り切るようにして、次郎左衛門は立花屋へ帰った。浮橋が送って行った。ゆうべの風の名残りで、仲の町には桜が一面に散って、立花屋の店先には白い花の吹き溜まりがうずたかく積もっていた。まだ大戸をあけたばかりの茶屋では、次郎左衛門がいつにない早帰りに驚かされた。
「お早うござります」
二階へあがれと勧められたが、次郎左衛門はすぐに帰るといって、籠釣瓶をうけ取って腰にさした。女中は駕籠を呼びに行った。浮橋は栄之丞の茶屋へ八橋を迎いに行った。ひと足さきへ帰るつもりであったのを、かえって次郎左衛門に先を越された気味で、栄之丞は少し躊躇したが、いっそこうなったら次郎左衛門をさきにやりすごして、自分は後から大門