Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

かわあかり

河明り

岡本 かの子

Lisez 河明り (かわあかり) de 岡本 かの子 (おかもとかのこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 49 244 caractères · 98 écrans

Aozora Bunko

「こういう簡単なものもご覧になれないって、お嬢さんどういうご病気なの」

というと、小店員はちょっと頭を掻いたが、

「まあ、気鬱症とか申すのだそうでございましょうかな。滅多にございませんが、一旦そうおなりになると一人であすこへ閉籠って、人と口を利くのを嫌がられます」

若しかして、昨日、茶席での談話が、娘を刺戟し過ぎて、娘は気鬱症を起したのかも知れない。そう云えばだんだん娘の性情の不平均、不自然なところも知れて来かかっていたし、そういう揺り返しが、たまたま起るということも、今更、不思議に思われなくなっていた。私は小店員の去ったあと、また河の雪を眺めていた。

水は少し動きかけて、退き始めると見える。雪まだらな船が二三艘通って、筏師も筏へ下りて、纜を解き出した。

やや風が吹き出して、河の天地は晒し木綿の滝津瀬のように、白瀾濁化し、ときどき硝子障子の一所へ向けて吹雪の塊りを投げつける。同時に、形がない生きものが押すように、障子はがたがたと鳴る。だが、その生きものは、硝子板に戸惑って別に入口を見付けるように、ひゅうひゅう唸って、この建物の四方を馳せ廻る。

ふと今しがた小店員が云った気鬱症の娘が、何処に引籠っているのだろうと私は考え始めた。