Classiques japonais avec furigana
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あぶらじごく
油地獄
斎藤 緑雨
Lisez 油地獄 (あぶらじごく) de 斎藤 緑雨 (さいとうりょくう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 34 624 caractères · 69 écrans
十
方の奥へ蔵まわれ、日に夜に幾度か引出されて、人の足音のするまではながめられ、そして或時、実に或時、肌に着けられて寝たこともあった。
十
預けた金は受戻す、戻した金は使果す、この上は国元へ頼遣った別途の金の到着するのを、写真を膝に指折るばかり、淀文へも存じながら無沙汰したが、その十日ほどに白魚は椀を逐れて、炙物の端に粒の蚕豆が載る時となった。国元では伜が今までにない初めての入用、定めし急な買物であろうと、眼鏡は掛ても書簡の裏は透さずに、何がしという為替を早速送り越したので、貞之進は見るより早くその暮方、かねて新調の藍縞糸織の袷に、白縮緬の三尺を巻附け、羽織は元の奉書で、運動と見せて宿を立出で、顔を知らぬ車夫を選って柳橋手前で下り、ぶら/\と淀文の前まで来ると、何人の会合か隣家の戸口へかけて七八輛の黒塗車が居并らび、脊に褐色や萠黄や好々の記号を縫附けた紺法被が往来し、二階は温雅した内におのずからさゞめいて居るので、さすがに貞之進は逡巡みして引還そうとする時、あなたやと二階裏で高く呼んだ声が、小歌の声のように思われて立留ったが、よしや小歌であった