Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ぬまふじん
沼夫人
泉 鏡花
Lisez 沼夫人 (ぬまふじん) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 39 541 caractères · 78 écrans
「はじめは何でもない事だった。――何の気なしに、あの人を、そこいらへ散歩に誘ったんです。」
「あの人ッて?」
「…………」
「ははあ、対手の貴婦人だね。」
「そんな事を言わないで、」
と吸口をもっと突込む。
「可いじゃないか、何も貴婦人と云ったって、直ぐに浮気だ、という意味ではないから。」
「何、貴婦人に違いはないが、その対手が悪い。」
「可し、可し、黙って聞こう。そうまた一々気にしないでお話しなさい。そこで。」
「御存じの通り、あの前の年から、私は体が悪くって二年越この田舎へ来ていたんだ。あの人は、私が世話になってる叔父が媒酌人で結婚をしたんだろう。大して懇意ではないが見知越でいたのだった。
ちょうど戦争のあった年でね。
主人は戦地へ行って留守中。その時分、三才だった健坊と云うのが、梅雨あけ頃から咳が出て、塩梅が悪いんで、大した容体でもないが、海岸へ転地が可い、場所は、と云って此地を、その主治医が指定したというもんです。
小児の病気とはいいながら、旅館と来ると湯治らしく、時節柄人目に立つ。新に別荘を一軒借りるのも億劫だし、部屋借が出ず入らず、しかるべき空座敷があるまいか、と私が此地に居た処から、叔父へ相談があったというので、世話をするように言って来た。