Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ほうえつクラブ
法悦クラブ
野村 胡堂
Lisez 法悦クラブ (ほうえつクラブ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 14 176 caractères · 28 écrans
「私が? 私が第一番に話すんですか」
ひどく面喰った様子で、佐々村村一は襟飾などを緩めて居ります。二十七八のまだ大学を出たばかりと言った好青年で、背の高い、色のやや青白い、女のような可愛らしい口元をした、誰にでも好かれそうな人柄です。
「佐々村君、確りするんだ」
反対側の隅から声援を与えた者があります、多分佐々村村一の友達の一人でしょう。
「いたし方ありません、喜んで首の座に直って、取って置きの話をいたしましょう」
佐々村村一は観念した様子で、徐ろに語り出しました。
「――尾崎紅葉の小説に片えくぼというのがあります、全く素性の知れない女と長い旅をして、その素性が知れない故に、不思議な魅力を感ずるという話であったと思いますが、私も実は、これと同じく、素性の知れない女と交渉を生じて、実に不思議な悩ましさを感じた経験を持って居るのです。その上、その素性の知れない女というのが、世にも美しい声の持主で、別に唄を歌ったわけでは無いのですが、話す言葉でまさに迦陵頻伽で、これに比べられる声の美しい人を、レコードに吹込まれて残って居る、近代の名女優サラ・ベルナール以外に私は知りません。