Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
なきむしこぞう
泣虫小僧
林 芙美子
Lisez 泣虫小僧 (なきむしこぞう) de 林 芙美子 (はやしふみこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 34 906 caractères · 70 écrans
「誰も来てないかい?」
「うん、誰も来てないよ」
啓吉が蝙蝠傘を差しかけると、裾をたくしあげた勘三は啓吉の拾った青いハンドバッグを開いてみた。啓吉は背伸びをして、叔父の手元を見上げている。
「はいっているかい?」
「まてよ……」
青いハンドバッグの中には、沢崎澄子という名刺が二三枚這入っていた。汚れたパフのついた和製のコンパクトが一つ、香いは中々いい。練紅、櫛、散薬のようなもの。ダンテ魔術団のマッチ、男の名刺が四五枚、紅のついたハンカチが一枚、茶皮の財布には、五銭玉が二つ、外にハトロンの封筒が財布の背中に入っていたが、これには拾円札が一枚はいっていて、封筒には「童話稿料」と書いてあった。
「はア、こりゃ、叔父さんみたいな人が落としたンだよ……」
沢崎澄子といえばちょくちょく聞いたことのある名前だ――。勘三は、ハトロンの封筒から拾円札を引っぱり出したが、不図あきらめたように、その拾円札をハトロンの封筒の中へしまいこんで、
「ううん」
と呻ってしまった。
「ねえ、それ拾ったって僕のもんじゃないンだろう?」
「そうさ、この女のひとだって困ってるだろうから、届けてあげなくちゃアねえ……」