Classiques japonais avec furigana
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いきにんぎょう
活人形
泉 鏡花
Lisez 活人形 (いきにんぎょう) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 41 111 caractères · 82 écrans
(談話前にもどる。)
ここに赤城得三は探偵の様子を窺えとて八蔵を出し遣りたる後、穏かならぬ顔色にて急がわしく座を立ちて、二室三室通り抜けて一室の内へ入り行きぬ。こは六畳ばかりの座敷にて一方に日蔽の幕を垂れたり。三方に壁を塗りて、六尺の開戸あり。床の間は一間の板敷なるが懸軸も無く花瓶も無し。ただ床の中央に他に類無き置物ありけり。鎌倉時代の上にや、小挂しゃんと着こなして、練衣の被を深く被りたる、人の大きさの立姿。溢るる黒髪小袖の褄、色も香もある人形なり。言わぬ高峰の花なれば、手折るべくもあらざれど、被の雲を押分けて月の面影洩出でなば、長けたらんといと床し。
得三は人形の前に衝と進みて、どれ、ちょっと。上※(「藹」の「言」に代えて「月」、第3水準1-91-26)の被を引き上げて、手燭を翳して打見遣り、「むむ可々。と独言。旧のごとく被を下して、「後刻に高田が来る筈だから、この方はあれにくれてやって、金にするとしてまず可しと。ところで下枝の方は、我れが女房にして、公債や鉄道株、ありたけの財産を、我れが名に書き替えてト大分旨い仕事だな。しかし、下枝めがまた悪く強情で始末におえねえ。