Classiques japonais avec furigana
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いきにんぎょう
活人形
泉 鏡花
Lisez 活人形 (いきにんぎょう) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 41 111 caractères · 82 écrans
十九 二重の壁
と口にて衣紋を引合わせ、縛られたるまま合掌して、従容として心中に観音の御名を念じける。
その時得三は袖を掲げて、雪より白き下枝の胸を、乳も顕わに押寛ぐれば、動悸烈しく胸騒立ちて腹は浪打つごとくなり。全体虫が気に喰わぬ腸断割って出してやる。と刀引抜き逆手に取りぬ。
夜は正に三更万籟死して、天地は悪魔の独有たり。
(次三郎とは本間のこと、第一回より三回の間に出でて毒を飲みたる病人なり。鎌倉より東京のことなれば、敏き看官の眼も届くまじとて書添え置く。)
十九 二重の壁
得三一度手を動さば、万事ここに休せむかな。下枝の命の終らむには、この物語も休みぬべし。さらばそれに先立て、一旦滑川の旅店まで遁れ出でたる下枝の、何とて再び家に帰りて屠り殺さるる次第となりけむ、その顛末を記し置くべし。
下枝は北の台に幽囚せられてより、春秋幾つか行きては帰れど、月も照さず花も訪い来ず、眼に見る物は恐ろしき鉄の壁ばかりにて、日に新しゅうなるものは、苛責の品の替るのみ、苦痛いうべくもあらざれど、家に伝わる財産も、我身の操も固く守護て、明しつ暮しつ長き年、月日は今日にいたるまで、待てども助くる人無ければ、最早忍び兼ねて宵のほど、壁に頭を打砕きて、自殺をせんと思い詰め、西向の壁の中央へ、ひしと額を触れけるに、不思議や壁は縦五尺、横三尺ばかり、