Classiques japonais avec furigana
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うみにいくるひとびと
海に生くる人々
葉山 嘉樹
Lisez 海に生くる人々 (うみにいくるひとびと) de 葉山 嘉樹 (はやまよしき) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 161 305 caractères · 321 écrans
クレインは近づいた。そしてその偉大な腕を、ヌッと本船のハッチの上へ差し延べた。それから、ワイアロープがブラ下がって来た。そのロープの尖端には人間の腕まわりほどの太さの鉤がついていた。この鉤自体が一人ではとても動かないのであった。そこへ持って来て室蘭では、この種の荷役になれた仲仕がいなかった。その巨大な鉤が上からブラ下がって来て、下から何でもひっかかりさえすれば、引き上げようとしているのに、仲仕はただまごまごするだけであった。
水夫たちも荷役に手伝った。が、何にしても足場は、ボイラーの円いペンキ塗りの上である。すべることこの上もないところへ、それを縛るワイアロープは、腕の太さほどであるのであった。まごつくとワイアに、はね飛ばされねばならぬ破目になるのであった。おまけに鉤は一人で動かない、やつであった。従って作業がはなはだしく困難であった。
ところが、船長が、このボイラー揚陸に当てた時間は、きわめて短いのであった。それはチーフメーツも心得ていた。チーフだって正月は横浜でしたかったことはいうまでもないことだ。従って、これも、ボイラーを急いでいた。かくのごとく二重にボイラーは急がれていたが、仲仕は人数が少ない上に、横浜の仲仕ほどなれていなかった。