Classiques japonais avec furigana
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かいいき
海異記
泉 鏡花
Lisez 海異記 (かいいき) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 223 caractères · 37 écrans
」
薄暗がりに頷いたように見て取った、女房は何となく心が晴れて機嫌よく、
「じゃ、そうしましょう/\。お前さん、何にもありませんよ。」
勝手へ後姿になるに連れて、僧はのッそり、夜が固って入ったように、ぬいと縁側から上り込むと、表の六畳は一杯に暗くなった。
これにギョッとして立淀んだけれども、さるにても婦人一人。
ただ、ちっとも早く無事に帰してしまおうと、灯をつける間ももどかしく、良人の膳を、と思うにつけて、自分の気の弱いのが口惜かったけれども、目を瞑って、やがて嬰児を襟に包んだ胸を膨らかに、膳を据えた。
「あの、なりたけ、早くなさいましよ、もう追ッつけ帰りましょう。内のはいっこくで、気が強いんでござんすから、知らない方をこうやって、また間違いにでもなると不可ません、ようござんすか。」
と茶碗に堆く装ったのである。
その時、間の四隅を籠めて、真中処に、のッしりと大胡坐でいたが、足を向うざまに突き出すと、膳はひしゃげたように音もなく覆った。
「あれえ、」
と驚いて女房は腰を浮かして遁げさまに、裾を乱して、ハタと手を支き、
「何ですねえ。」
僧は大いなる口を開けて、また指した。