Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しぶやけのしそ

渋谷家の始祖

宮本 百合子

Lisez 渋谷家の始祖 (しぶやけのしそ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 68 023 caractères · 133 écrans

Aozora Bunko

どうぞ、焔のような激しさで、愛す! といって欲しかった。そうさえすれば、自分は、せめて信子だけを信じ、守り、縋りついて、生活を続けて行かれるのだ、という切迫した願望が、血行と共に、彼の身内を循環し始めたのである。

この、愛す! という誓言は、今の場合、正隆にとっては、単純な愛情の証言ではなかった。信子夫人の、天地に懸けた愛で、彼自身、彼の全部を、肯定して欲しかったのだ。彼が、不幸な運命を負うて生れた者であることも、彼が、よい天分を持っていることも、それを発揚することは、不可能なことも、総てを、ありのまま、よし! といって貰いたかったのである。

正隆は、どうぞ、

「解っています、皆解っています、私の愛する者よ、さあ確りしましょう、私は、そのままのあなたを愛しているのですよ」

といいながら、腕を引立てて、起して欲しかったのである。

憤りの狂暴な力は、彼を振い立たせるだろう。けれども、正隆は、その孤独な、緊張の中に、たった一人で立っていることは、堪えられなかった。

怒濤のような力が、自然にじわじわと鎮ると、その後を襲う寂寥、恐ろしい迄の静謐(せいひつ)に堪えかねて、正隆は感傷的にならずにはいられない。