Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

げんぞうがはら

源蔵ヶ原

山本 周五郎

Lisez 源蔵ヶ原 (げんぞうがはら) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 843 caractères · 28 écrans

Aozora Bunko

と宗吉が忠太に云った、「せわをやかせるな」

「泰さん」と忠太が呼びかけた。

泰二は両手を膝に突き、うなだれたままなにも云わなかった。

「立たねえのか、忠太」と宗吉が云った、「せわをやかせるなと云ったろう」

「頼むよ」と泰二が云った。

「勘弁してくれ泰さん」忠太は片方の腕で顔を掩いながら云った、「――勘弁してくれ」

市三が忠太の肩を叩き、忠太は弱よわしく立ちあがった。なんてえこった、と又次郎が云った。ほんとに、なんてこったろう。――市三と宗吉が、左右から忠太の腕を取った。又次郎は不決断に、忠太を見、振向いて泰二を見た。のろはせかせかと頭を掻いたり、泰二のほうを見たりした。忠太を中に、五人が去ってゆき、あとに泰二が独り残った。空の半月が薄雲に掩われ、源蔵ヶ原がいっとき暗くなった。

「お光」と泰二が云った。

彼は凍てた土の上を、片手で劬るようにそっと撫でた。

「お光」と彼は云った、「辛かったか」

彼の喉へ嗚咽がこみあげてき、全身がふるえだした。