Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

りょうしのむすめ

漁師の娘

徳冨 蘆花

Lisez 漁師の娘 (りょうしのむすめ) de 徳冨 蘆花 (とくとみろか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 592 caractères · 23 écrans

Aozora Bunko

一

一

常陸の国霞が浦の南に、浮島と云って、周囲三里の細長い島がある。

二百あまりの家と云う家はずらり西側に並んで、向う岸との間は先ず隅田川位、おおいと呼べば応と答えて渡守が舟を出す位だが、東側は唯もう山と畠で持切って、それから向うへは波の上一里半、麻生天王崎の大松も、女扇の絵に画く子日の松位にしか見えない。

此の浮島の東北の隅の葭蘆茫々と茂った真中に、たった一軒、古くから立って居る小屋がある。此れは漁師の万作が住家だ。夏から冬にかけては、人身よりも高い蘆が茂りに茂って、何処に家があるとも分らぬが、此あたりを通って居ると、蘆の中から突然に家鴨の声が聞えたり、赤黒い網がぬっと頭を出して居たり、または、一条の青烟の悠々と空に消えて行くのを見ることがある。併し其れよりも著しいしるしがある。其は此の蘆の中から湧いて来る歌の声――万作の娘お光が歌う歌であった。

「浮島名物、一に大根、二に鮒鰻、三にお光の歌……」などとよく島の若い者が歌う位、実にお光の歌と云ったら此のあたりに知らぬ者はない。秋の夕日が西に入って、紺色になった馬掛のから水鳥が二羽三羽すうと金色の空を筑波の方へ飛んで、高浜麻生潮来の方角が一帯に薄紫になって、十六島の空に片破れ月がしょんぼりと出て、浮島の黄ろく枯れた蘆の根もとに紅色の水ゆらゆらと流るる時分、空