Classiques japonais avec furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Lisez 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 132 395 caractères · 263 écrans
そこで、島を離れ、ミンダナオ島に向うことになったが、その夕べ、悪夢は再び繞り来った。今度は、生々しい現実の恐怖を味わねばならなかったのである。
それは、翌夕日没直後のことで、なにか鑵鼓のようなもので、舷側を叩く音がしたので、余は暗闇の海中に絞盤を下ろさしめた。
すると、その巨大な網は、金色の滴を跳ね飛ばしながら、徐々と闇の深みから現われてきた。しかしその瞬間、余は巨大な力に、ギュッと心臓を掴まれたような気がした。
それは、板戸のような※であったが、表面には、まだ呼吸のある、二人の嬰児が結わい付けられてあった。ところが、裏面を返してみると、そこにあったのは、首も手足もない、年若い女の胴体だったのである。
余は、その際の光景を、未だに想起することができる。
月のない海には、赤い光がどんよりと映り、女の屍体からは、液体の宝玉がしずくのように滴り落ちている。
それは、女の乳房を、豪奢な王冠に変えたかのようで、中央の乳首には、夜光虫が巨大な金剛石となって輝き、ぐるりの妊娠粒には、いちいち光る滴が星をふり撒いているのだ。そうして、この陰惨な場面が、どれほど華やかなものにされていたことだったろうか。