Classiques japonais avec furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Lisez 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 132 395 caractères · 263 écrans
と、かたわらの床から、取り上げたものを見て、一同は少なからず驚かされた。
それは、お岩の変貌を写す鏡で、今どきとうてい見ることのできない、古風な長柄の鉄鏡だった。そして、裏面には、六つ手薊の模様が、透し彫りになっているのだ。
ところが、法水に表を返されて、一同はあっと叫んだ。
と云うのは、その鏡面に、薄く滲み出たかのごとく、紅で、五本の指痕が印されてあったからである。
「ところで、こういう昔の鉄鏡に、一種不思議な現象があるのを、御存知でしょうか。それは、表面何事もない鏡でも、一度光を当てると、なんともいえない不思議な模様が、前方に映ることです。しかし、その正体というのは、鏡の裏面にある浮彫りなんですよ。それは、最初鏡を磨く際に、模様のある低い部分が、一端は凹むのですけど、やがて日を経るにつれ盛り上ってきて、結局、不思議な像を反射するようになるのです。むろんこの鏡も、六つ手薊をそのまま反射するのですが、ここに問題なのは、表面に着いている五本の指痕なんです。偶然かは知りませんが、それが六つある、刺葉の合間合間に符合しているのです。ですから、けっこう暗くなると、お岩の左頬に何ものか、映らなくてはなりますまい。