Classiques japonais avec furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Lisez 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 132 395 caractères · 263 écrans
伊右衛門 またも死霊の。
と、抜打ちに死骸に切りつけると、大ドロあって、浪幕の間より、代りの戸板が差し出されて、骸骨を載せたまま、本水の中を花道指して流れ行くのであった。
けれども、その時儀右衛門は、塑像のように動かなくなり、釣竿を腕に支えたまま凝っと戸板の上を見詰めていた。
もはや彼は、奔馬のような脈を感じ、錯覚さえも生じて、蘆も土橋も水も何もかも、キラキラした、陽炎の中に消え去る思いがした。と云うのは、いかなる魔の所業であろうか、戸板の上の骸骨には、肢首が括り合わされていて、それが人魚を象どる、あの図紋のように感じられたからである。
しかし、そのうち水門が開かれて、滝流しの浴衣を着た与茂七が現われると、舞台は陰惨の極から、華麗の頂辺に飛び上り、まさに南北特有の生世話だんまり、あのおどろおどろしい声や、蒼白い顔や、引き包まんばかりの物影などは、とうに昔の夢と化して、どこかへ飛び去ってしまうのだった。
ところが、そのだんまりの真最中、板戸が進み行くにつれて、なにか金色に輝いた脂肪のようなものが、水面をじわりじわりと拡がって行くのだった。そうして花道を行く間に、だんだんと右に傾いて行き、ようやく切幕の下に達したとき周囲の観客はつんざくような叫び声を上げた。