Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
みおつくし
澪標・落日の光景
外村 繁
Lisez 澪標・落日の光景 (みおつくし) de 外村 繁 (とのむらしげる) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 130 889 caractères · 268 écrans
最早、善も悪もない、むしろ非情にも近い哀しみである。しかし人の涙となれば生温い。まして、五十近い男の頬を流れる涙などというものは、だらしない極である。しかし私にはそれを怺える力は、今はない。私はまたも机の上に泣き伏してしまう。幸にも涙というものはそういつまでも流れ出るものではない。いつか目の縁を引き吊るようにして、自然に涙の干くのを待つより他はない。
外には、冬の日とも思われない、うららかな日日が続いているのに私は自分ながら愛想のつきるような日日を送っている。ひとり、机に向かっていると、必らずあいつがやって来る。来るぞ、と思う。が、もうそのときには、涙はだらしなく頬を流れているのだ。あいつは、日に何度ともなくやって来る。私はその度に他愛なく、机の上に泣き伏さねばならなかった。
たしかに、夢を見ているのだと思ってはいた。しかし妻は死んだのではなかったとも思っていた。表には、酔払いらしい大声と、足音が聞こえている。なにか玄関の戸に突き当ったような音がした。途端に、隣りに寝ていた妻が上体を擡げ、じっと聞き耳立てているふうであった。私はそんな妻の姿を、夜具の中から首を縮めて眺めていた。