Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ひのとり
火の鳥
Lisez 火の鳥 (ひのとり) de Dazai Osamu (太宰 治) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 37 740 caractères · 76 écrans
このまま溶けてしまいたいほど、くたくたに疲れ、また提燈持って石の段々をひとつ、ひとつ、のぼって部屋へかえるのだ。宿は、かなり大きかった。まっ暗い長い廊下に十いくつもの部屋がならび、ところどころの部屋の障子が、ぼっと明るく、その部屋部屋にだけは、客のいることが、わかるのだ。一ばんめの部屋は暗く、二ばんめの部屋も暗く、三ばんめの部屋は明るく、障子がすっとあいて、
「さっちゃん。」
「どなた?」おどろく力も失っていた。
「ああ、やっぱりそうだ。僕だよ。三木、朝太郎。」
「歴史的。」
「そうさ。よく覚えているね。ま、はいりたまえ。」三木朝太郎は三十一歳、髪の毛は薄くなっているけれども、派手な仕事をしていた。劇作家である。多少、名前も知られていた。
「おどろきだね。」
「歴史的?」
三木朝太郎は苦笑した。歴史的と言うのがかれの酔っぱらったときの口癖であって、銀座のバアの女たちには、歴史的さんと呼ばれていた。
「まさに、歴史的だ。まあ、坐りたまえ。ビイルでも呑むか。ちょっと寒いが、君、湯あがりに一杯、ま、いいだろう。」
歴史的さんの部屋には、原稿用紙が一ぱい散らばって、ビイル瓶が五、六本、テエブルのわきに並んでいた。