Classiques japonais avec furigana
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とうみょうのまき
灯明之巻
泉 鏡花
Lisez 灯明之巻 (とうみょうのまき) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 23 444 caractères · 47 écrans
」
「あるだ。」
その時、この気軽そうな爺さんが、重たく点頭した。
「……阿武隈川が近いによって、阿武沼と、勿体つけるで、国々で名高い、湖や、潟ほど、大いなものではねえだがなす、むかしから、それを逢魔沼と云うほどでの、樹木が森々として凄いでや、めったに人が行がねえもんだで、山奥々々というだがね。」
と額を暗く俯向いた。が、煙管を落して、門――いや、門も何もない、前通りの草の径を、向うの原越しに、差覗くがごとく、指をさし、
「あの山を一つ背後へ越した処だで、沢山遠い処ではねえが。」
と言う。
その向う山の頂に、杉檜の森に包まれた、堂、社らしい一地がある。
「……途中でも、気が着いたが。」
水の影でも映りそうに、その空なる樹の間は水色に澄んで青い。
「沼は、あの奥に当るのかね。」
「えへい、まあ、その辺の見当ずら。」
と、掌をもじゃもじゃと振るのが、枯葉が乱れて、その頂の森を掻乱すように見え、
「何かね、その赤い化もの……」
「赤いのが化けものじゃあない――お爺さん。」
「はあ、そうけえ。」
と妙に気の抜けた返事をする。
「……だから、私が――じゃあ、その阿武沼、逢魔沼か。