Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はいいろのきおく

灰色の記憶

久坂 葉子

Lisez 灰色の記憶 (はいいろのきおく) de 久坂 葉子 (くさかようこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 65 588 caractères · 132 écrans

Aozora Bunko

私は苦笑した。彼女は旅行記念の手帖をみせてくれた。俳句や和歌や淡墨の絵があった。ひるまで、私と彼女は絵をかいた。彼女は般若の面を荒々しく画いて私にくれた。私は観音のプロフィールと梅の木とを、半折に配置してやはり墨だけでかき、彼女に捧げた。

「うれしいね。私は……。私、学年があらたまると故郷へかえるの、時々眺めてあなたを思い出すの」

私は、ぜひ神戸に居てほしいとは懇願しかねた。彼女はやはり肉親の許へ帰るのが当然であり、私がひきとめても仕方ないことであった。それに、教師は教授するのではなく、共に工場で働くためのものでしかなかったからだ。

「私、神や仏を信じてない。私、自分を信じているの」

近くの山へ散歩した時、ふっと彼女はそう云った。

「唯、寺や仏像が好きだけ。あなた、仏教信者? 教員室で噂きいた。……」

「何もかもわからなくなってしまって……わからないままにかえって強くなったみたい。わたし、数珠を捨てたの……」

「自信を持つことね。自信をもつことよね」

彼女は私の手をにぎりしめた。それはごつごつした男のような手であった。

彼女は学期の終りに、辞職の挨拶をして九州へかえって行った。