Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
はいいろのきおく
灰色の記憶
久坂 葉子
Lisez 灰色の記憶 (はいいろのきおく) de 久坂 葉子 (くさかようこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 65 588 caractères · 132 écrans
電車にのっても泣きやまない私に、
「東京の御土産にパパに買って来て頂きましょう」母は優しい声で云った。
私はやっと確かに約束をさせて、丁度、一週間後に東京へ出張した父の帰りを指折かぞえて待った。父は一カ月に一度位、東京へ出張した。そして必ずお土産に兄弟に一冊ずつ本を買って来てくれた。私の弟は、私のために放任主義がつづいて、自由に何でもよんだりみたりすることが出来たので、四歳の時から本に親しんだ。彼が、天才あつかいにされ、神童呼ばわりにされたのも、私の恩恵であったのに、私はそのため随分ひけ目を感じてしまうことも度々起ったのだ。
父を出むかえに、その頃、出張は必ずつばめの白線のある車で、日曜の朝着くことになっていたから、母と子供達は自動車で迎えに行った。私は、あの大きな人形と毎晩一しょに眠れるんだと、胸をときめかしながらプラットホームに待ちかまえていた。ところが、父は革鞄の他に何も持っていない。
「パパ、お人形は?」
私は、おかえりあそばせ、も云わない先にきいた。
「この中だよ、お家へかえってから」
私は屹度、手足がばらばらに取りはずし出来るようになっており、革鞄の中にきちんとはいっているのだろうと、踊る心を押えて家へ帰った。