Classiques japonais avec furigana
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ほのおのなかにうたう
焔の中に歌う
野村 胡堂
Lisez 焔の中に歌う (ほのおのなかにうたう) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 476 caractères · 27 écrans
四
青磁色の羅は波打って、安楽椅子に身も浮くばかり、仔細は知らず、その歎きには容易ならぬ深刻さがあります。
四
何時間かの後、駒鳥絹枝は、漸くその涙にぬれた顔をあげました。
客間には電灯が入って、華麗な調度を明るく照し出して居りますが、そこにはもう、高木博士も錦木幸麿も見えません。少し離れた所から、深井少年の気遣わしげな眼だけ、この「歎きの歌姫」の、底知れぬ悲歎の様を、いたわるように眺め入って居るのでした。
「皆んな、もうお帰りになって……ア、ア、来る人も、来る人も、私を自分のものにしようとする人ばかり、術をかえ、品をかえ、さいなみ抜かれて、私はもうすっかり疲れてしまった」
長椅子の背に、なよやかな腕を投げかけて、その上に、ぬれた大輪の花とも見られる、優れて美しい顔をがっくり載せました。精も根も尽き果てた美女の姿は、ビアズレも、歌麿も知らなかった、不思議な悩ましさを描き出します。
「深井さん、あなたはまだ帰るとは言わないでしょうネ、帰っちゃイヤ……私の側へ寄って、そう、そう、そして、もう少しここに居て下さるワネ。私に逢って、何んとか厭らしい事を言わない男は、貴方ばかりなんですもの、尤もお目にかかってから、まだほんの五六時間しか経って居いないのネ。