Classiques japonais avec furigana
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ぼんのうひぶんしょ
煩悩秘文書
林 不忘
Lisez 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 86 705 caractères · 173 écrans
だがこの、顔が怖いだけで苦労人、結構人の文珠屋の主人が、あの評判のぼんのう小僧とは、このふたりのほか、店の使用人も誰も知らないので。
その与助と由公も、佐吉親分はただの泥棒と思っているだけ、どうしてこんな暗い道に踏み込んだかその真の目的は何であるかそんなことは、佐吉もかつて打ちあけたことはなし、二人より何人にも察しようのないことだった。
女を置かず、客の用から拭き掃除まで、みんな男を雇って済ましているのは、女は眼はしがきいて口に締まりがないというので、この大秘密を保たんがためではあったが、それよりも、佐吉が大の女嫌いという建前。
じつに、おしろいのにおいを嗅ぐと、三日飯がまずい――というところから、下男ばかり何人も置いているのだが、江戸というところは、何でも奇抜でさえあればいい、その風変りな点が当りを取って、老人客や、茶人めいたかわり者のあいだに、この伝馬町の文珠屋は、なかなか評判がよく、江戸へ出ればここときめている定連も、かなり尠くないのだった。
が、女を使わないというだけで、女客を断わるわけではない。事実、急ごしらえの出あい夫婦、つれ込みが、文珠屋の泊り客の過半なので、おんながいないだけに、うしろめたい女客には、かえって気が置けないのかもしれない。