Classiques japonais avec furigana
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ぼんのうひぶんしょ
煩悩秘文書
林 不忘
Lisez 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 86 705 caractères · 173 écrans
」
「千浪さまに、あんなに慕われる大次郎先生を思うと、人ごとながら、冥加に尽きるような気がするなあ。」
「しかし、おれはいつも不思議に思うのだが、顔があんなに変ったとて、心まで一変するものであろうか。」
「そういうこともあるであろう。なにしろ、この自分というものが、すっかり変ったような気がするに相違ないだろうからな。」
「恐ろしいことだ。」
わいわい話し合っているところへ、遠く玄関のほうに当って、人の訪れる声がする。
立って行った弟子の一人が、すぐ引っ返して来たかと思うと、背後に、荒い滝縞の重ねに一本ぶっ差して、ぞっとするほど恐ろしい大柄な顔をした男と、鼠のような小さな男とが、そのまま案内役にくっ付いて、どんどん道場まではいり込んで来ていた。
見咎めた泉刑部が、立って来て、
「何だその方たちは何だ。何故取り次ぎを待たずに――。」
「伴大次郎さんにお目にかかりてえのですが。」
「大次郎先生は、もはやここにはおられぬ。」
「そんならあんた方に申し上げてもよいが、こちらのお嬢さんが、誰とも知れねえ白覆面にかどわかされて――。」
承知の由公も、そばから口を入れて、
「へえ、あっしが後を尾けたんですが、本銀町の角で、ふっと横町へ外れたなり――。