Classiques japonais avec furigana
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ぼんのうひぶんしょ
煩悩秘文書
林 不忘
Lisez 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 86 705 caractères · 173 écrans
小信さんは、少し気が狂っていなさるようだ。」
田万里にいたころから、文珠屋佐吉も、この伴大次郎、姉小信を知っているので。
「あの小信さんが――? すりゃ、出羽の許を逃げ出して。」
出羽守の側女に、押しこめ同様になっているはずの姉の所在が解ったと聞いて、喜んだのも束の間、気が狂っていると知って、大次郎の悲痛と落胆は大きかった。
が、気が狂っている以上、今すぐ訪ねて行ってもしようがあるまいと、小信の身は、宗七夫婦に依頼して一時安心することにした。
そして二、三日うちに、大次郎は必ずやぐら下の宗七夫婦の宅へ小信に会いに行くことにして、とにかくその日は、文珠屋佐吉と連れ立って、その伝馬町の旅館へ帰ることにした。なおも三人、相談と手筈を決めた後。
その、女気抜きの名物旅籠、文珠屋の階上「梅」の座敷では。
良人大次郎とばかり思い込んで、ここまで来たのが、顔を見せられて、あの恐ろしい父の仇敵白覆面と知った千浪は、そのまま哀れに気を失っている。
その、ちょっと覗かせて見せた祖父江出羽守の素顔に、何があるのか。それは本人の出羽守と、一眼見せられた千浪のほか、誰も知らないのだが――。