Classiques japonais avec furigana
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ばくだんたいへいき
爆弾太平記
夢野 久作
Lisez 爆弾太平記 (ばくだんたいへいき) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 49 653 caractères · 98 écrans
行けんと云うたら行けん。それよりもなるべく船の近くで遣るようにしろ。器械の方はいつでも止めさせるから……」
「器械はコチラから止めさせます。どうぞ先生……」
と云う声を聞き捨てて吾輩は又、甲板に引返して行ったが、この時の友太郎の異様な熱誠ぶりを、知らん顔をしてソッポを向いていた友吉親仁の態度を怪しまなかったのが、吾輩一期の失策だった。或はイクラかお神酒がまわっていたせいかも知れないがね。
ところで甲板に引返してみると船はモウ十四海里も西へ廻っていて、絶影島は山の蔭になってしまっていた。そのうちに機械の音がピッタリと止まったから、扨はここから初めるのかな……と思って立上ると、飲んでいる連中も気が附いたと見えて、我勝ちに上甲板や下甲板の舷へ雪崩かかって来た。
「どこだどこだ。どこに鯖がいるんだ」
とキョロキョロする者もいれば、眼の前の山々に猥雑な名前を附けながら活弁マガイの潰れ声で説明するヒョーキン者もいる。中には芸者を舷へ押し付けてキャアキャア云わしている者もいた。
その鼻の先の海面へ、友吉おやじの禿頭が、忰に艫櫓を押させながら、悠々と廻わって来た。見ると赤ん坊の頭ぐらいの爆弾と、火を点けた巻線香を両手に持って、船橋に立っている吾輩の顔を見い見い、何かしら意味ありげにニヤニヤ笑っている。