Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
Lisez 爆薬の花籠 (ばくやくのはなかご) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 101 908 caractères · 204 écrans
「まあ、足袋はだしに、おなりになって」
婦人は、三輪車をさけるとたんに、草履の鼻緒がぷつんと切れてしまい、そして、草履はぬげて、はだしになってしまったのだ。白足袋は、泥水にそまって、もうまっ黒だ。
房枝は、かけよると、今にもたおれそうな婦人のからだを両手でささえた。
「奥さま。しっかりなさいまし。おけがはありません?」
「まあ、あたくし」
と、婦人は、おどろきのあまり、ことばも出ない。
「ずいぶん、ひどい運転手でございますわねえ。あら、あのひと、あいさつもしないで、向こうに逃げてしまいましたわ」
房枝が、後をふりかえったときには、三輪車は、もう向こうの辻をまがったのでもあろうか、影も形も見えなかった。
「いいえ、あたくしが不注意だったのでございますのよ」
と、その婦人は、ハンケチを出して、羽織にかかった泥水の上をそっとおさえたが、二、三箇所、それをすると、もうハンケチは、まっ黒になってしまった。全身の泥水は、まだそのままであるように見える。ずいぶん、ひどくかかったものだ。
この婦人は、誰あろう。有名な彦田博士の夫人道子であった。その昔、発明マニアといわれた若き学徒彦田氏を助け、苦労のどん底を、ともかくも切りぬけ、そして今日の輝かしい彦田博士を世に出したお手柄の賢夫人だった。