Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ちちのかたみ
父の形見
豊島 与志雄
Lisez 父の形見 (ちちのかたみ) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 879 caractères · 14 écrans
父も笑ってしまった。彼女は帯の上をたたき、父は首をかかえて、二人ともいつまでも笑ってやまなかった。
突然のその朗かな笑いが、二人の気分を晴れやかになした。後になっても、「腹が痛むと」という言葉が、楽しい話題となった。
「腹が痛むと……。」がでたらめな嘘であったとしても、それは、前の凡てをでたらめな嘘となしはしなかった。却って前の凡ての真実性をますに過ぎなかった。愛とはそういうものか。最後の一つの嘘で、気持を悪くしたり怒ったりするのは、本当の愛を知らない者のすることだ。
君も、恋人があったらためしてみ給え。もし君の恋人が笑わなかったら、それは、君たちの愛がまだ不安定な証拠だ。
君の父がもし、その時の朗かな笑いのうちに、彼女と一緒に死ぬことが出来たら、或は幸福だったかも知れない。だが、そんな幸福に甘えてはいけない。
正夫よ、窮迫のうちにあった君の父に、君が一の重荷となったであろうことは、君にも想像がつくだろう。
老婢がよく家庭の中を整えていてくれたので、父は君について細かな面倒をみてやる必要はなかった。然し父は時として君の死を想像することがあった。君が風邪の気味だったり、胃腸を少し害ったりする時、父は君の健康に細心な注意を払いながら、それと同時に、君の死を考えることがあった。