Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おぎふくうた

犀星王朝小品集

室生 犀星

Lisez 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) de 室生 犀星 (むろうさいせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 105 794 caractères · 211 écrans

Aozora Bunko

宮司の女の房に入りびたしにいる持彦には、はじめは他の女たちも避けて見ぬふうをよそおうていたが、きょうも控えの一隅に、用もなく花桐の下がりを待つ持彦の姿を見ては、またかという気持がしだいに嶮しくなって行った。若い持彦にはそんな他の女の心にどう自分が映ろうが、構うひまもないふうだった。つまり一刻のあいだにも花桐を失うている時間というものは、持彦には存在してはならぬものだったのだ。

花桐は殿中から下がって来る長い渡殿の歩みのあいだに、胸がみだれてくることを感じ、歩みも、せかせかと悲しく不意に躓きさえしていた。あんなにされては困るが、困っても持彦が来なくなるということは、一層困るし生きられぬものに思われた。厭で厭でならぬものと、好きでそのため身を滅ぼしても構わないものとが、入り乱れて、彼女に心を整理させるひまも与えないのである。きょうこそ思いきって房に待たぬようにいい、中三日くらい置きに逢うように言わねばならぬと、殿中から下がりながら決心していても、持彦の顔を見るともう言えなくなり、乱れてしとどになっていた。そんなひまさえないくらい、引っきりなしに持彦の愛情にあおられていなければならぬのだ。