Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

くるいだこ

狂い凧

梅崎 春生

Lisez 狂い凧 (くるいだこ) de 梅崎 春生 (うめざきはるお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 111 430 caractères · 226 écrans

Aozora Bunko

「気分的というより、職業の問題があったのかも知れないな」

栄介は憮然として顴骨のあたりを押えた。城介も顴骨が出ていたが、栄介もそうだ。近頃痩せたと見え、ことにそれが目立つ。

「おやじは実は県庁をやめたのだ」

「そのためにかね?」

「いや。ずっと前だ。おれに竜介という兄があることを、君に話したかな。その兄ももう死んでしまったけれども」

竜介は彼よりも八つ上であった。写真があるから思い出せるけれど、現実の竜介の印象はほとんど彼には残っていない。顔の青白い、髪が額に垂れ下って、むっつりした男であった。弟を可愛がることを、いや、話し合うことをほとんどしなかったのは、年齢が隔たっていたせいもあるだろう。弟たちを相手にするには、欝屈したものに充ちあふれていたためかも知れない。しかし栄介はひとつの情景を思い出す。彼がまだ小学校に入らない、幼ない時のことだ。夫婦喧嘩があった。

「あたしは実家に帰ります」

母は涙で顔いっぱい濡らしながら、納戸にある箪笥の引出しをあけ、唐草模様の風呂敷に、自分の着物をごしごしとつめ込んでいた。

「竜介だけは、あたしが連れて帰ります」

茶の間には、皿や碗が散乱していた。